セントラルキッチンの居抜き活用で出店コスト100万円で丼物屋オープン

丼物店を開業すべく都内で店舗物件を探していた金子茂さん。不動産会社に籍を置いていたが、条件に見合う物件が見つからなかった。居抜き物件をマッチングさせる店舗物件のオークション市場「店舗そのままオークション」を利用したところ、JR飯田橋駅から徒歩7分の角地に掘り出し物を確保できた。居酒屋のセントラルキッチンの移転跡を、居抜きで取得できたのだ。出店コストも350万円削減できた。

不動産会社に在籍したが、物件は見つからなかった

TV番組「ワールドビジネスサテライト」を観た金子茂さんは、即座に行動を起こした。昨年秋、この番組で「店舗そのままオークション」が放映されたのだ。ピン!ときた金子さんはネットで検索して、登録した。これが奏功し、飯田橋に12坪の路面店を確保した。

金子さんは損害保険会社勤務を経て保険代理店を経営するかたわら、東京・新宿区で蕎麦店、ついで練馬区と板橋区でパブを経営していた。2年前、これらの事業を譲渡および閉鎖し、フィリピンに渡り自動車輸入業の立ち上げを準備。しかし、難問が多すぎると判断して、中止した。

そして、新しいビジネスとして「経験を活かせる分、成功の確率が高い」という理由で飲食店経営を決断し、固定客化を見込めるビジネスマンを対象に業態を考えた。丼物店を選んだ理由はふたつ。(1)ひとつの食器で多くの料理を提供できること、(2)調理時間とお客の滞在時間が短く、回転が速いこと。

当初は集客力を考えて、駅前に店舗物件を探していた。宅地建物取引主任者の資格をもつ金子さんは、知人が経営する不動産会社に籍を置いており、そのルートで物件を探した。だが、見つからなかった。

「物件そのものがきわめて少なく、まれに紹介されても、店舗面積が小さい、家賃が高い、場所が地下などの理由で条件が合いませんでした」(金子さん)

さらに駅前にはチェーン店が進出していて、過当競争で廉価販売が強いられているため利益率の低下を避けられない。一定の利益率を確保できて、集客力のある立地。そんな方針に切り替えたときに、金子さんは「店舗そのままオークション」に出合ったのである。

路地裏なのに1時間の通行量が600人!

物件は07年3月末までに確保する予定で、数件の紹介を経て現在の物件に決定した。金子さんは「最初の内見で即断即決しました」と振り返る。不動産業のプロである金子さんを即座に納得させた物件は、どんな立地にあるのか。

店舗の立地はJR飯田橋駅から凸版印刷のトッパン小石川ビルに向かう動線に面している

JR飯田橋駅から徒歩7分。印刷会社、出版社が居並ぶ区域で、一見すると路地裏だが、物件は駅から凸版印刷株式会社トッパン小石川ビルに向かう動線の交差点に面している。従来は居酒屋のセントラルキッチン(以下CK)で、CKが埼玉県に移転されることに伴い、原状回復費用の低減を目的に「店舗そのままオークション」に登録。今回の成約で、敷金の全額返還などにより、通常の閉店に比べ、閉店費用で209万7000円のメリットを得られたという。

金子さんにとって決め手になった材料のひとつが、市場分析だけでなく、さまざまな業態の適性まで精緻に分析された実践的な内容に編集されている、M&Aオークション作成の「マーケティングレポート」だ。

同レポートによれば、平日の通行量は1時間あたり600人。半径500メートル以内の従業者数が2万4638人、人口が1万3208人、小売業年間販売額が93億円。にもかかわらず周辺には飲食店が少ない。ランチタイムにはどの飲食店も満員で、持ち帰り弁当店には行列ができる。しかも休日には、家族連れが多く歩いている。

立地特性に加えて物件がCKであったことも、即断即決の理由だった。
「電気、ガス、水道、空調、冷蔵の各設備をそのまま使用できます。しかも店舗ではないため、従来から営業していた飲食店のリニューアルという印象ではなく、通行人に対して、新しい店がオープンしたことがきちんと伝わります」(同)

初期投資の大幅低減で、複数店舗化の展望

「御食事処れんげ」は居抜き物件の活用により、出店コストを350万円削減できた

出店コストは通常の出店なら450万円だが、100万円で済んだ。居抜き別件であることだけでなく、M&Aオークションの紹介による内装工事もコストダウンに大きく寄与した。M&Aオークションは「低コスト出店・閉店」の方針に賛同している優良な店舗関連企業のネットワークを保有している。紹介された内装会社の株式会社ラフィーク・コーポレーション(東京都荒川区)は、短納期でクオリティーの高い業務を遂行し、さらに相見積もりを不要とさせる低価格で請け負ってくれたのだ。

開店予定は5月上旬で、店名は『御食事処 れんげ』。店内はカウンター5席、テーブル15席に設計され、昼には約10品、夜には居酒屋需要を見込んで約40品を提供する。客単価は昼800円、夜2500円を想定し、当面は月商300万円をめざしていくという。

「この地区には老朽化した建物が多いので、再開発の余地があります。ビジネスマンが増えることはあっても減る要素がありません。ここは長期的に安定した商売が可能な立地です」(同)

金子さんが「店舗そのままオークション」を知ったのは、TV番組という偶然のきっかけだった。だが初期投資を「2年ぐらいで回収できる見通し」(同)とあって、複数店舗化したいという展望も描けるようになった。たんなるコストダウン以上のメリットがもたらされたといえるだろう。

【店舗概要】

店名:御食事処れんげ
代表者:金子茂
所在地:東京都新宿区新小川町5-11 千都世ビル

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