オークションが環境問題の光明に! 物件が地域の資産へと生まれ変わる

「店舗そのままオークション」の利用は、売り手、買い手とも大幅なコストダウンがメリットとなっている。そのうえで今回の事例では、省力化はもちろんのこと環境問題対策の一環となることも魅力のひとつであることが浮き彫りとなった。

移転による廃棄物は環境問題に通じる

広島市安佐南区にて約8年前から秋山クリニックを経営している秋山弘彦院長が、「店舗そのままオークション」の存在を知ったのは、不動産管理会社である大和興産の担当者からの紹介によってであった。

秋山クリニックが入居していたマンション。医療機関がテナントとして揃い、立地条件としては最適だ

秋山クリニックがテナントだったマンションは、医療ビルとも呼ばれるほど小児科、内科など医療機関が入居していた。その環境に秋山院長は不満があったわけではない。ただ「駐車場が使えなくなるなどさまざまな契約上の変更があり、移転することを考えた」。

新たな物件探しもさることながら、問題は移転にともなう工事にあった。次のテナントが使えるようにすべての造作の解体を望まれたのだ。まず解体費用に485万円かかる。しかも廃材など膨大な廃棄物が出てしまう。環境問題が取りざたされる昨今、その現実に秋山院長は心を痛めた。

「実際のところ、約8年間の開業でしたがエアコンやブラインドはもちろんのこと、シックハウス対策を施した内装も十分に使用できる。それをゴミとして廃棄したり解体するのはもったいないと思っていましたね」

そこで、店舗そのままオークションである。じつは大和興産は、「店舗そのままオークション」の広島地域のエリアパートナー(販売代理店)であったのだ。2007年1月に、大和興産よりオークションの存在を知らされた秋山院長は、「こんないいシステムが世の中にあったのかというのが率直な感想」だったという。

解体には費用がかかり、環境問題につながっていく。かといって居抜き物件として売買するにも、相手先を探し、交渉するのは忙しい身では不可能だ。それをすべて解決してくれる。
秋山院長は、大和興産を通じてオークションに参加することにした。

新事業に必要な物件を落札

「そのままオークションによる省力化は大きな魅力です」と語るメリィハウスの木村常務

一方、秋山クリニックの物件をオークションを通じて入手したのは、株式会社メリィハウス。同社は同じ安佐南区で介護付有料老人ホームを経営。グループとして経営する八千代病院(広島県安芸高田市)では重度な高齢者の介護をするなど、一貫して高齢者介護に取り組んできた。そのうえで同社は、癒しをコンセプトとした新しい施設の開発をめざしていたという。

「現在介護といえば介護予防が脚光を浴びています。しかしそれは高齢者の方に過度なトレーニングを強いることになる。そこで私たちは、癒しというコンセプトで介護予防を進める施設を出店したいと進めていたのです」

同社の木村正幸常務はそう語る。ゲルマニウム浴が楽しめ、さまざまなマッサージがあり、また専属のドクターもいて、くつろぎながら医療相談を受けられる施設。それがイメージだった。広さは最低でも70坪はほしい。

木村常務たちはいくつかのめぼしい物件を見つけ、実際に歩き、目で確認していた。じつはスーパーマーケット内にちょうどよい広さの物件があったのだが、周囲の音がうるさい。さて、どうするかと思案していたときに、もともと付き合いのあった大和興産から、「こんな物件があるがどうか」と持ちかけられた。秋山クリニックの物件であった。

「医療機関が多く入っているマンション、しかもクリニックの居抜きです。これはいい物件だと思いましたね。じつはこのときはじめて『店舗そのままオークション』を知りました」

物件が個人の資産から地域の資産に

オークションの業務はすべて大和興産が代行した。木村常務は会員登録をし、オークション金額の上限を500万円と設定しただけ。落札後の諸般の段取りを考えるとそれが上限だった。結果、見事落札。3月16日に成約となった。

もし一から内装を手がけていたら4000万円以上の投資になったとみる。それが実際には多少の設備・電気工事を行なっただけで済んだ。そのうえで木村常務は、オークションについてこう語る。

「通常の不動産情報は、広さや住所や間取りなどが文字情報として提供されるだけ。その点、そのままオークションはウェブ上に物件画像が掲示されている点がいいですね。画像を確認するだけで、いい悪いの判断がつき、いいと選んだ物件だけ足を運んで確認すればいいのですから。省力化は魅力です」

今後同社では同様の施設を県内外に出店していく予定だ。そのときにはもちろん「店舗そのままオークション」を利用していきたいという。

さて、秋山院長が語った環境問題について、木村常務は同様のことをいう。すなわち「ゴミがでないことがオークションのメリット」。とかくコスト面だけに目がいきがちだが、物件を再利用できることがオークションの魅力なのだ。それは秋山院長の次のひとことに象徴される。

「オークションによって物件が次につながることがわかっているのなら、はじめからしっかりとした建物や造作を考えていける。もはや物件自体を個人の資産ではなく、地域の資産として見ていくべきではないか」


このページのTOPへもどる ▲