経営ド素人ムスメの初めての飲食店開業記
〜長屋でカフェを始めました

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飲食店に勤務した経験もなければ、経営をしたこともない。組織に属したことさえない「一匹オオカミ」ゆえに、人やお金の流れを管理する経験も一切ナシ。ついでにお金もまるでナシ!! そんな「経営ド素人ムスメ」が築70年以上の古い長屋に出会い、カフェを経営することに。元クリーニング店の店舗兼自宅だったという長屋をリノベーションして開業するまでの道のりと、カフェオープンしてからの日々をこのコーナーで綴っていきます。

第15回 「禁煙か否か?」

カフェのオープン前に決めることのひとつに、店内を禁煙にするかどうかというポイントもありました。

カフェのなかでもコーヒーを売りにしているお店は、スターバックスさんなんかもそうですが、コーヒーの香りを邪魔するからという理由で禁煙にしているところがほとんどです。

また、最近では健康志向ゆえに店内を禁煙にしているお店もたくさんありますよね?

私のカフェの場合も、オーガニックコーヒーやオーガニックワインをドリンクメニューの中心にしていたため、「オーガニックのもの出してて、タバコOKってどういうことよ?」という気持ちもありました。
「小石川でカフェやります!」と書きこんだSNSのコミュニティでも「子連れなので、禁煙のお店なら行きたいです」といったようなコメントもけっこうありまして(カフェのある文京区って、健康とかエコとか環境に対して意識の高い人が多いのですよね)。

そこで、まわりの飲食店経営者の先輩に「禁煙カフェにしようと思うのですけど…」と相談しました。

すると、先輩たちは猛反対。

というのも、私の店は、私が昼間はライター業をしているため、夜のみの営業。
コーヒーよりもアルコールが中心となります。

「アルコール飲んだら、普通、タバコ吸いたくなるでしょ」
「『タバコ吸えないなら、他の店に行く』って人も多いよ」
と。


「酒を出す店で禁煙にすると売上は落ちる。でも、やっぱり禁煙に…」

つまり、アルコールを出すお店では「禁煙」にすると売上が落ちるよ、というわけです。

うむー、売上が少なくなるというのはあまりにも不安です。
考えてみれば、「子連れだから、禁煙なら行きたい」という声は、たぶん昼間の利用を考えてのこと。
カフェのターゲットはママさんたちではなく、近所に住むOLさんとかサラリーマンとか。
会社帰りにビール飲みながら一服したくなる人もいるかもしれない。

けっこう悩みました。

でも、結論は「禁煙」にしてしまいました。

いちばんの理由は私のカフェは築70年以上の古い木造の建物だったので、火の不始末ゆえの火事が怖かったからです。
まあ、私自身がタバコを吸わないので、タバコの煙でモクモクの空間で働きたくない! という気持ちもありましたが…

「どうしても吸いたい」という方には灰皿をお渡しして、お店の外で吸ってもらうことにしました。


「お店をスタートさせてから思うこと。できれば分煙がいい!」

ということで「禁煙」にしてみたのですが、実際にお店を始めてから思ったのは「分煙」がいい、ということ。

その理由は以下のふたつ。
一、 自分がいる空間だけキレイな空気を吸いたいというのはエゴではないかと思ったこと。
お客さまにお店の外で吸ってもらうと、その煙は風向きによっては隣の建物の2階に行くかもしれません。
幸い、私のカフェの隣のお宅からはそのような苦情はありませんでしたが、店の立地によっては自分のお店のお客さまが出した煙が周辺の家や会社や事務所に迷惑をかけることになるかもしれない、とふと思ったのです。


二、ご近所さんへの印象が悪い!
あるときご近所さんから「通路に吸い殻が落ちていることがあるから、スタッフの方にもお客さんにも吸い殻をポイ捨てしないように徹底させてください。火事になると大変ですから」と言われました。お店ではタバコを吸われる方には灰皿をお貸し出ししてましたので、タバコをポイ捨てする人はいなかったはずなのですが、「この店は店内ではタバコが吸えないから、外で吸っている人が多い」という印象を持たれると、通行人がポイ捨てしたタバコもお店のせいになってしまいます。
営業時間前には店の前は掃除することになっていますが、人間の心理として複数回、同じ場所で吸い殻を見つけると「ここはいつも吸い殻が落ちている」ということになってしまうのです。

もちろん、「野菜もコーヒーもアルコールもすべてオーガニックで、店内も環境ホルモンの出ない天然素材を使ってます」みたいな徹底した健康志向のお店なら、最初からタバコを吸う人は来ないでしょうから、禁煙でもいいと思います。

でも、うちのお店のように古い長屋という、まったりとした空間をお酒とコーヒーとともに楽しむといった店だとタバコを吸う人も来ます。

時代の流れからして、「喫煙OK」から「禁煙」にするのは簡単ですが、「禁煙の店」から「喫煙OK」にするのはなかなか難しいので、禁煙か喫煙OKか分煙かは、オープン前にしっかりと考えておきたい問題だと思います。

(続く)



柏木珠希(かしわぎたまき)
エッ セイスト&ライター。大学在学中より執筆業を始め、卒業と同時にフリーライターに。会社や組織に属したことがない「一匹オオカミ」だった が、カフェを開業することで、アルバイトを雇うなどの「生まれて初めての経験」を多数することに。著書に「開運マニア」(説話社)、「開運! マンション 選び」「小さなお店の買い方、始め方」(ともにすばる舎)など。ちなみにタイトルには「経営ド素人『ムスメ』」とあるが、年齢は「成人式は二度済ませてお ります」。



nagaya cafe さと和
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底を打ったとはいえまだまだ不況の続くなか、脱サラするよりも二足のワラジを履きながらの飲食店経営が賢明です。
会社を辞めずに飲食店のオーナーになるためのノウハウを、サラリーマン飲食店オーナーの高樹公一と、ライターでありながら古民家カフェのオーナーである柏木珠希が公開しました。



掲載: 2010年6月

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