サラリーマン飲食店オーナーのススメ
第12回 「サラリーマン飲食店オーナー」が現場で働く意味
今まで様々な、サラリーマン飲食店オーナーに関わってきましたが、私の経験や実例から「現場でスタッフとともに働く」ということは非常に重要であるにも関わらず、そのスタイルには個人差があるようです。
私の場合、ラーメン屋で開業して、時々ホールやレジ締めを手伝う程度のことはしましたが、「ラーメンを作るために厨房に入る」ということが、「特別な技術を習得しなければできない職人技」というイメージから、厨房には入りませんでした。やればできると思いながら、どこか「僕がそこまでしなくても」という気持ちがあったかもしれません。
その結果、店長やスタッフの意見をそのまま受け入れ、メニュー、シフト、設備等の経営判断をせざるを得なかったのです。
その私も、新店で人が不足し、やむを得ず、会社帰りに店でラーメンを作ることになったのですが、それが単なる1人分の労働力ということでないことが直ぐにわかりました。
自分が調理をすることで、全く別の視線でお客様を見ることができましたし、設備や材料、調理、洗い場といった一つ一つのパーツが一つになっていくのです。
結果、シフト組、メニュー開発、設備等々、色々な相談に対して自分の意見を的確に話できるようになったかと思います。
更に大きく変わったのが、スタッフとのコミュニケーションです。
それまでは、「オーナーは所詮現場を知らない」という冷ややかな目で見られたかもしれませんが、同じ仲間として接してくれるようになり、自分の意見に対してもきちんと話を聞いてくれるようになりました。
結果、利益や売上、そして精神的なストレス、全てにおいて改善されました。
現在は、店舗も増えて、なかなか店に入る事は出来ませんが、それでも入っていた経験が生きています。
また、私が最初に支援したラーメン店のオーナーは、「自分は現場に入らず、オーナーとして貢献することが重要」という考えから、開業して1年半は現場に入らなかったのですが、「店の経営悪化」「現場からオーナーへの不満」といった問題が深刻化したことをきっかけに、現場で調理を含めて働くようになり、結果、採算やスタッフ満足といった効果がありました。
そのオーナーも今では「オーナー自らが調理すればお客は自然と増える」という考えに大きく変わったのです。
それらの経験を元に、これから始めるオーナーに対しても現場で有る程度のスキルを身につけられるように開業前には必ず勧めるようにしていますが、私同様、実際難しいところがあるようです。
開業の動機が、「BARを開業してお酒をつくりたい」とか、「何か特別な料理を広めたい」といった自己実現に有る場合は、オーナー自らが現場で働くことが前提となる場合が多く、問題ないのですが、
フランチャイズに加盟するケースなどでは、当初オーナーはなかなか現場、特に厨房に入らない場合が多く、結果、現場とオーナーの間で温度差が生まれてしまいがちです。
先日オープンしたあるオーナーの場合でも、オープン前にかなり厳しく現場に入る約束をしたにもかかわらず、現実にはレジに立ってる時間がほとんどで、結果、「現場」と「オーナー」双方でうまくいっていないようです。
オーナーはスタッフに対して経営の苦労をわかってもらえないと思い、一方スタッフは、オーナーが現場を知らずに指示をすることに不満を持ってしまうのです。
頭でわかっていても、なかなか厨房で覚えるという壁は高いようで、彼もなんとかその壁をやぶろうと努力を始めたところですが、私自身が3年以上かかったことなので、オーナー側の気持ちもよくわかってしまいます。
現場に入れば全てOKとはいえないですが現場を知らず、「顧客満足」「シフト管理」「売上アップ」を考え、スタッフから信頼されるのは、
現場に入ることよりむしろ難しいのはないかと思いつつ、今後オーナーを目指す方に重要テーマとして伝えていきたいと思います。
高樹 公一(たかぎ こういち)
1968年11月生まれ
某大手電気メーカー在籍中の現役バリバリサラリーマンながら、
飲食店4店舗(ラーメン、串焼きダイニング店)のオーナー。
更に会社を辞めずに飲食店オーナーを目指す人を支援するサービス「週末飲食オーナー倶楽部」をつくり、サラリーマン飲食店オーナー仲間とともに後輩オーナー育成に注力中!
第1回 週末起業大賞 審査員特別賞受賞
2007年9月 書籍発売「1億稼ぐ!飲食店「週末」起業」(技術評論社)
2008年7月 やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている(光文社ペーパーバックス)にて仕組み保有者として紹介される。
会社を辞めずに飲食店オーナーを目指す方を応援します!
週末飲食オーナー倶楽部
http://www.inshokuowner.net/
『副業で始める「飲食店ビジネス」』
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2009年11月11日発売!
柏木 珠希、高樹 公一(著)
定価1400円(税別)
底を打ったとはいえまだまだ不況の続くなか、脱サラするよりも二足のワラジを履きながらの飲食店経営が賢明です。
会社を辞めずに飲食店のオーナーになるためのノウハウを、サラリーマン飲食店オーナーの高樹公一と、ライターでありながら古民家カフェのオーナーである柏木珠希が公開しました。
掲載: 2010年5月












